ダークなグリム童話「ヘンデルとグレーテル」
テスト動画
登場人物
ナレーター(黒)
ヘンデル(妹)
グレーテル(兄〕
お父さん
義母
貴族
老婆
兵士
ヘンデルとグレーテル
ナレーター
ヘンデルとグレーテルというお話をご存知ですか?
子供達に読み聞かせる絵本作品です。
「ヘンデルとグレーテル」は、お菓子の家に住む魔女を倒し貧困の家族を救う兄弟愛を描いた作品である。
「ヘンデルとグレーテル」…実は恐ろしい物語である事をご存知だろうか?…
「ヘンデルとグレーテル」は1812年にグリム兄弟より発表されました。
「ヘンデルとグレーテル」の舞台となったのは14世紀頃のドイツのヘッセン州です。
当時、ヨーロッパを襲った大飢饉のお話が元になっています。
餓えに苦しんだ人々は我が子をも捨てたとされた時代、その中で生まれたお話だと云われています。
「ヘンデルとグレーテル」は19世紀になるまでに度々改変され現在のお話になっています。
それではそろそろ本題に入りましょう。
「ヘンデルとグレーテル」ホントは怖い童話をご紹介します
ナレーション
ある村にヘンデルとグレーテルという兄妹がいました。木こりの父と再婚相手の義母と暮らしていました。貧しい家族に大飢饉という悲劇が襲う…
○部屋の中
お父さん 「(ため息) 明日のパンが最後だ…。子供達だけでも食べさせてあげればいいのだが…これからどーしたものか…」
義母 「…こーなってしまっては仕方がないよ。あの子達がいるから、あたしたちの分もなくなるんじゃないかい? (しばらく沈黙) 森の中に置いていこう…。
お父さん「おまえ…何言ってんだ?そんな事出来るわけ…
(義母遮るように)
義母 「そんな事言ったって、このままじゃ、あたしらも餓死しちゃうよ!いいかい?明日、薪の木を取りに森の奥深くまで連れて行くんだよ。そのまま置いてくんだよ!そぅ~すりゃ帰ってこれないよ!」
お父さん 「そんな可哀想なこと出来ないよ~」
義母 「だったらあんたこのまま皆餓死するのかい!」
お父さん 「そ…それは…」
義母 「あんたはあたしの言うこと聞いてればいいんだよ!わかったかい!」
お父さん 「わかった…せめて最後に焼き立てのパンを食べさせてあげよう」
義母「しかたないね、最後に美味しいパンを作ってあげるよ。フフフ…(不気味に笑う)」
ナレーション
結局、義母に押し切られる形で承諾してしまったお父さん。空腹の為、眠れなかった兄妹はこの話を聞いてしまうのでした。ヘンデルはショックを受け泣いてしまいますが…
○口元アップ (ニヤリと笑う)
(鳥の鳴き声 )翌日
ナレーション
朝、グレーテルが目覚めるとヘンデルの姿がありません。するとパンの焼ける良い匂いがしてきました。昨日の夜、泣きじゃくっていたヘンデルが義母と一緒に楽しそうにパンを作っていたのです。
○キッチン
ヘンデル 「お兄ちゃん、おはよう!パン作ったの!今日のお昼に食べるのよ!」
グレーテル (ヘンデルを引っ張り小声で)「おまえ、そんなに仲良くするんじゃないよ!昨日の話聞いてただろ?」
義母 「なんだい?コソコソして?早く準備しな!あんたたちも手伝ってもらうよ!」
○森の奥深く
義母 「(小声)ここまでくれば大丈夫。 さぁ!仕事だよ!あんたたちは薪の木を取ってくるんだよ!」
ヘンデル グレーテル 「はーい!」
○森の奥へ消えていくヘンデルとグレーテル
お父さん「ヘンデル、グレーテル許しておくれ」
義母「何やってんだい!早く帰るよ!絶対帰ってきやしないよ!フフフ…」
○森の中
ヘンデル「これだけあれば大丈夫ね!お兄ちゃん帰ろう」
グレーテル 「そんなの集めなくてもいいよ。僕達は捨てられたんだ!許せない!」
グレーテル 「まだ、いるかもしれない!お父さーん!お母さーん!」
ナレーション
いくらグレーテルが叫んでも返事はなく、むなしく森に響くだけでした。グレーテルは泣き出してしまいます。ヘンデルは泣きじゃくる弟を慰めていました。
○森の中
ヘンデル 「泣いてもしょうがないよ。もう、行こうよ、お兄ちゃん」
グレーテル「うん、でも、お腹空いた、そうだ!パンがあるよ!食べよう!」
ヘンデル 「待って!」(パンを取り上げる)
グレーテル 「あっ!どーして!!」
ヘンデル 「見てなさい!」(パンをちぎって投げる)
ナレーター
ヘンデルがパンをちぎって投げると野兎がやってきて、パンを食べました。しばらくすると野兎は突然苦しそうにもがき、やがて動かなくなりました。パンには毒が盛られていたのです。そして、二人は森の中を歩いていると馬に乗った高貴な貴族と老婆に出会います。
○森の中
貴族 「子供がこんな所に、君たちも親に捨てられたのかい?」
ナレーター
そう言うと貴族は老婆に一切れのパンをあげるよう命じます。警戒心の高いヘンデルは口にはしませんでしたが、グレーテルは空腹のあまり口にします。その姿を見たヘンデルもまた口にするのでした。この貴族は親に捨てられた子供を保護する為に森を巡回していたのでした。
○貴族の部屋
貴族 「さぁ、たくさんお食べ」(ご馳走が並ぶ)
二人は無我夢中でご馳走を頬張りました。
ヘンデル 「あぁ美味しい」
グレーテル 「ほんと、美味しい!」
老婆 「フフフ…そんなにがっつくと喉につまるよ」
ヘンデル グレーテル 「ご馳走さま!」
グレーテル 「あぁお腹いっぱい、何だか眠くなってきた…」
ヘンデル 「お兄ちゃん、こんな所で寝ちゃダメだよ、あれ、私も何だか眠くなってきた」
(貴族と老婆、不気味な笑み)
ナレーター
そのまま深く眠ってしまったヘンデルとグレーテル気がつくと二人は檻の中に入れられていました。二人が大声で助けを呼んでいると、老婆が現れます。
老婆 「うるさいね!静かにしろ!」
先程までの優しい老婆の姿はなく鬼の形相で睨みつけます。
老婆 「おい!お前!旦那様がお呼びだ!こっちへ来い!」(ヘンデルを指差し)
ナレーター
そう言うと抵抗するヘンデルを軽々と持ち上げ去って行きました。一人残されたグレーテルはうずくまり泣き続けていました。しばらくするとヘンデルが一人でやってきました。
ヘンデル 「グレーテルもう大丈夫。帰ろう」
グレーテル 「無事だったんだ!よかった!」
グレーテル「それより、これ見ろよ!」(金や銀の財宝)
ヘンデル 「わぁ!凄い!でもどーやってお兄ちゃん逃げれたの?」
グレーテル「お前と義母さんが作ってくれたパンのおかげだよ」(ニヤリと笑う)
○貴族の部屋 (死んでいる貴族と老婆の手に一欠けらのパン)
ナレーター
その後二人は役人に保護されます。貴族の部屋からは拷問危惧や血痕の後が残るノコギリ、そして百体を超える身寄りのない子供達の遺体が発見されました。二人は家に戻る事が出来ました。お父さんは喜んでいましたが、何よりも驚いていたのは義母でした。
○部屋の中
義母 「お、おかえり、よく無事だったね、あたしゃ嬉しいよ」(震えながら)
グレーテル 「僕もだよ、義母さん」
グレーテル 「あぁ、そうだ、義母さん、パン美味しかったよ」(ニヤリと笑う)
怯える義母
ナレーター
ヘンデルが持ち帰った財宝により裕福になり家族は幸せに暮らしました。…では終わりませんでした。
(ドアをノックする音)
義母が扉開けると数人兵士が立っていました。
義母 「なんだい?」
兵士 「ここに魔女がいると報告があった!連れていけ!」
義母 「ちょっと何するんだい!あたしゃ魔女なんかじゃないよ!」
お父さん 「なんかの間違いじゃないですか!」
グレーテル 「…。」
兵士 「これは何だ!」(部屋を探し魔術書や魔女の黒服を見つける)
義母 「そりゃなんだい?知らないよ!助けて!」
(口元アップニヤリと笑う)
義母「はっ!!ヘンデル!おまえー!ヘンデルー!」
連行される義母
○部屋の中
ヘンデル「あとはアイツだけか…財宝は私のものよ、フフフ」
グレーテルがやってくる
ヘンデル 「お兄ちゃん」(何かを聞こうとする)
グレーテル 「なんだい?」
ヘンデル 「ううん。何でもない。あっ!そうだパン作ったの食べて!」
グレーテル「ありがとう。美味しい!」
ヘンデル 「美味しい?良かった…」
グレーテル 「うっ…く、苦しい…ヘンデル…!お、おまえ…」
ヘンデル 「美味しいでしょ?義母さん直伝のパンだもの…財宝は渡さない…ウフフ」
○キッチン
お父さん「さぁ、落ち込まないで食事にしよう!今日はヘンデルが焼いてくれたパンだな!お父さんも元気がでるよ!それよりグレーテルを見かけなかったかい?」
ヘンデル「さぁ?でも大丈夫!もぉーすぐ逢えるから…ウフフ」(口元アップニヤリと笑う)
ナレーター
美味しそうにパンを頬張るお父さん